「車を売却したのに、自動車税が戻ってこなかった」 このトラブルは、中古車買取の現場で最も頻繁に起きている「合法的な搾取」の一つです。
結論から言います。年度の途中で車を手放した場合、未経過分の自動車税は「還付金」として元の所有者が受け取るべきお金です。 しかし、多くの買取業者はこの事実をあえて説明せず、契約書の裏に隠された特約を盾に、あなたの還付金を会社の利益(雑収入)として計上しています。
この構造を理解し、たった一言の確認を行うだけで、数万円単位の手取り額が変わります。
「還付なし」がまかり通る業界のカラクリ
本来、自動車税の法的な「還付通知(国から直接お金が戻る制度)」は、車を**「抹消登録(廃車)」**にした場合にのみ発生します。中古車として転売(名義変更)される場合は、法的には還付されません。
ここが業者のつけ入る隙です。 法的に国から戻らないなら、どうするか。本来であれば、「未経過分の税金相当額」を業者が計算し、車両本体価格とは別に売主に支払うのが商慣習上のスジです。
しかし、悪質な業者はこう考えます。 「客が何も言ってこなければ、この数万円は黙ってポケットに入れよう」
金額の目安(普通車の場合)
例えば、排気量2.0〜2.5リットルの車(年額43,500円)を10月に売却したとしましょう。 翌年3月までの残り5ヶ月分、約18,100円が還付相当額です。 もし3.0リットルクラスの大型車なら、半年で25,000円以上になります。これを「知らなかった」で済ませるのは、現金をドブに捨てるのと同じです。
契約書の「委任状」と「特約」を確認せよ
私が査定現場で実際に目にする契約書には、虫眼鏡が必要なほどの小さな文字で、以下のような条文が記載されていることが多々あります。
「本契約における買取金額には、自動車税の未経過分および自賠責保険の解約返戻金を含むものとします」
ここにハンコを押してしまえば、あとから「税金を返してくれ」と叫んでも手遅れです。あなたは「返還請求権を放棄すること」に同意してしまったのですから。
さらに悪質なケースでは、委任状の中に「自動車税還付受領権限の委任」という項目を紛れ込ませ、廃車にした際に国から戻るはずのお金さえも業者が受け取る設定にしている場合があります。
搾取を防ぐ「魔法の質問」
この「ネコババ」を防ぐ方法は極めてシンプルです。査定額が提示された瞬間に、相手の目を見てこう聞いてください。
「この提示金額は、自動車税の還付分を含んだ『コミコミ価格』ですか? それとも『別途支給』ですか?」
この質問が出た瞬間、営業マンは「この客は知識がある、騙せない」と悟ります。 もし「コミコミです」と言われたら、「では、税金の戻り分を引いた純粋な車両価格はいくらなんですか?」と詰め寄ってください。曖昧な説明でお茶を濁す業者は、その時点で候補から外すべきです。
信頼できる業者は、見積書に「車両本体価格 ○○万円」「自動車税還付金 ○○円」と明確に分けて記載します。明細を出さない業者には愛車を渡してはいけません。
